パナソニックCDラジカセRX-DT909の修理

 DT909

   パナソニックのCDラジカセ、RX−DT909です。DT−505,707,909シリーズの最上位機種です。いわゆるバブル期の「バブルラジカセ」と言われる種類の物で、1991年12月の発売。今でも非常に人気のある機種です。CD部はパナソニックご自慢の1bitDAC「MASH」搭載、テープ部はノーマル・クローム・メタル対応でドルビーB搭載。チューナー部はテレビの音声多重放送も受信可。内蔵タイマーは音声時計。・・・と機能面でも至れり尽くせりです。スピーカーは10pウーファーと8pミッドハイという構成でバスレフ型。イマドキの安っぽいMDコンポとは比べ物にならないくらい重低音から高音までいい音で鳴ります。外観の特徴はモータードライブでグイ〜ンと持ち上がるコブラトップと言われる操作パネル。とにかく大きく重いラジカセです。イマドキのミニミニコンポよりはるかに大きいのですが、ラジカセらしくキャリングハンドルが付いているのでどこへでも持ち運びでき(笑)、乾電池でも使えます。もっとも単一電池10本も使うんですが(笑)。

 今回はハードオフで「電源入りました。テープ再生不可。CD不可。ラジオ聴けました。」でリモコン付き500円で入手。

 動作確認をしてみたところ、ほぼ表記どおり。スイッチの破損などもなく、この機種の弱点であるコブラトップ部も問題なく起きあがります。このコブラトップが持ち上がらないって故障も結構多いです。

分解

早速分解に入ります。結構ネジが奥まっているので、長いドライバーでないと届きません。ネジは電池ボックス内部にもあるので注意。キャリングハンドルの止めネジは筐体の固定ネジも兼ねていますのでこれも外します。ネジを外したら筐体を開けますが、結構力が要ります。「割る」って感じがぴったりです。臆せず丁寧に開けましょう。余談ですが、隣に写っているのはこれまた修理待ちのDT−99です。909の一つ前のモデルになります。

メインユニット

CDドライブがただ差し込んであるだけなので、落としたりフラットケーブルを破損しないよう注意して筐体をバラします。ケーブルのコネクタ類を外し、ユニットを止めてあるネジ2本を外すと簡単にここまでバラせます。この整備性の良さは驚嘆モノです。

CDドライブ

まずはお約束のレンズクリーニングです。イソプロピルアルコールと綿棒でそっとクリーニングします。今と違って当時はCDのレンズクリーニングというのがあまりまだ認識されてなくて、お店にもCDレンズクリーナーなんてあまりみかけなかったので、定期的にクリーナーかけていた機体ってのがそんなになかったりします。意外とこれだけでCDが読めるようになるものが多いです。フロントローディングのドライブならまずバラさないと掃除できませんし、タバコ環境にあったものはクリーナーごときでは取れませんので。

ピックアップのレーザーが生きているかどうか、仮り組みの状態でチェックするときは絶対にレンズを肉眼で覗き込まない様に。見えませんしマジで危険です。レーザーが出ているかどうかは、動作状態にして、ピックアップをデジカメかビデオカメラで撮影すれば安全に簡単に判ります。

デッキ部

更にネジを取り、カセット部のカバーを外すと、カセットメカ部が見えて来ます。

デッキメカ

さらにネジを外していくとデッキメカ部が外せます。コネクタで基板に接続されているだけなので簡単に外れます。この状態でギヤ欠け、ベルトの伸び、外れ等をチェックします。特に問題が無ければ、モーターが死んで無い限り、不動の原因はまず1つに絞られます。ついでなので、この状態でヘッドやピンチローラー、キャプスタン等細部までクリーニングしちゃいましょう。あ、古いグリスが固着してないかどうかも要チェックです。固着したグリスはホントに固いですからね。

リーフスイッチ

デッキ部にはこのようなリーフスイッチがたくさん付いています。このスイッチこそがパナソニックのバブルラジカセのテープデッキ部最大の弱点です。ここが接点の酸化などで接触不良になると全く動かなくなったり、誤動作する原因になります。接点を磨く方法は人によって違いますが、私は1000番くらいの耐水ペーパーを細く切って接点の間に上から差し込み、接点を押さえながら軽く上下します。これを両側の接点ともやります。。その後、耐水ペーパーに接点復活剤をごく少量付けて同じ事を繰り返します。スイッチの透明カバーを外すと作業は楽勝なのですが、カバーを止めている突起が非常に弱く、うまく外さないと突起を折ってしまいますので注意が必要です。

スピーカー部

分解ついでにスピーカーも外して、パンチングメタルの中のホコリも掃除します。結構ホコリがたまりやすい場所なのですが、こういう時でないと掃除が出来ない場所ですので。スピーカーはマグネットも大きくなかなかいい感じです。エッジが布製なのもポイント高いです。パナソニックの以前の機種にはウレタンエッジのものがありましたが、あれは10年もすれば確実にボロボロに朽ち果てます。その点布製エッジならそういう事もありませんので。スピーカー自体は濡らせないので掃除機でホコリを吸い取ります。

仮組

メインユニットを元通り組み立て、筐体に組み付けます。フロントカバーを元通り取り付け作業終了です。

 修理後はCD、テープデッキ1,2とも快適に動いています。音は正直言ってかなり良いです。少なくとも最近のMDラジカセとは雲泥の差です。この機種は外部入力(AUX端子)が付いていますので、音のヘボいミニコンポはラインでこのラジカセに繋いで鳴らすという使い方もあります。それだけでもかなり良い音で楽しめるのではないでしょうか。デザインは賛否両論ありますが、私は好きな方です。いずれにしてもこんないい音のラジカセは末永く使いたいですね。もう2度とこんなの発売されないでしょうから。

(2005・3月記)

 

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